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2008年2月10日 (日)

無茶なこと

 土曜日の午後、東京の町にもちらほらと雪が降り出したころ、私たちは山へ向かった。中央道はすでに小淵沢までチェーン規制がかかっており、時間が経つにつれてチェーン規制のICはこちらへ向かってくることは簡単に想像がついた。大月の手前まではしったところで、須玉までチェーン規制が伸びた。勝沼をこえると甲府昭和からチェーン規制という表示。大月付近でFERMATAが山の管理会社に電話を入れると、家を出ていないなら来ないほうがいいと言うところですが大月まで来ているのなら帰ったほうがいいとも言えないし…と困った様子だったらしい。韮崎手前で渋滞が始まり、車線規制が始まっている。車の走っている走行車線も雪で白くなっているが、走行させていない追い越し車線は雪が積もりだしている。

 焦っても始まらないし、行けるところまでいくしかない、と走り続ける。雪の舞う長坂IC出口のスーパーマーケットでとりあえず3日分の食料とビールを買い込んで、山道に入っていく。さすがに車の通りが時々でもある道はスタッドレスで十分に走れる。しかし林道に向かうペンションや別荘地帯に入ると雪の量が増えてくる。それでも少し前まで管理会社が除雪したことがわかる雪の壁が細い道の両側に出来ていて、道を上っていくことは出来た。ここらまでは予想できた状態で、だんだん暮れてくる森の中に入ってからが問題だということもわかっていた。アスファルトの林道からダートの林道に入るところで一度スタックしかけたがこれは何度か切り返していると抜けられた。そこから一気に下り、下り終えたところから家まではあと100mもない。

Dsc_0289 けれどここからが登り切れないのだ(写真は翌朝上れずに参った地点へ行って撮ったもの。土曜の夕方は写真どころじゃなかった)。とりあえず、FERMATAと今回いっしょに行ったFERMATAの後輩の女の子を歩いて家に向かわせ、私は、坂をずるずると後戻りしたり、一気にアクセルを踏み込んで登り切ろうとしたりを繰り返していた。除雪車が掻いてくれた雪の壁は私の車の横幅より少し広いだけで、車はちょっと横を向くと動けなくなる。ハンドルがくるくると回り、タイヤがどっちを向いているのかわからなくなる。ゴムの焼ける臭いが新雪の舞う森に漂う。買ってきたチェーンを付けようにもタイヤが雪に隠れていて付けられない。もうあとちょっとなのにそのちょっとの坂がきつい。何度か管理会社に救助を頼もうかと携帯を手にするが、大月で来るべきじゃなかったというニュアンスの話を聞いていたからここは何とか自力で脱出しようと思案した。車から降りようとしても壁にドアが当たって降りられない。でもこうなると、車なんてどうでもよくなり、ドアを雪の壁にぶつけて這い出す。車の位置やタイヤの食い込みようを観察してスコップで周りの雪を掻く。何度も登り切れずにつまずいたポイントの雪はタイヤに押されて手前がえぐれ、先が壁になっている。それもスコップで取り除き、あたりの雪を蹴散らして再び運転席に戻る。

 オートマチックのウィンターモードは最初セカンド発進しようとするが途中でギアが変わるようなので、マニュアルモードにしてセカンドにホールドする。しかし、タイヤはその場で空回りするだけ。ギアをRに入れて、少し長めにバックしながらハンドルを回してタイヤの方向を整える。サイドミラーを左右とも下向きにして後部のタイヤと壁との間隔をとるように車体の向きも整える。そして再びセカンドにホールドして勢いをつけて登り始める。何度もダメだったあたりにさしかかると気持ちがくじけてくるのがわかり、その気持ちのくじけがタイヤに伝わるような気がし始めた。そんなことを30分以上続けていくうちに、祈るような気持ちともうどうだっていいという気持ちが交差して、タイヤが擦り切れるまでアクセルを踏んでやろうという気持ちになった。車は止まったところで激しくタイヤをスピンさせ、エンジン回転はレッドゾーンに入る。と、少し車が駆動力を取りもどした気がした。よし、もう一度だ。と再びバックに入れて振り出しに戻る。左側は谷、右側は林。道幅は2mちょっと。命がけというほどじゃなかったがかなり無茶をしていることは確か。だめだったらここに車を乗り捨てて家に行けばいい、こんな雪の中を登ってくる酔狂な奴は私くらいだろう、と開き直ってセカンド全開走行を始める。レーシングカーのような甲高いエンジン音をさせて、2t以上の車が坂の最後のところでもがいた。ハンドルの向きも車の姿勢も問題ない。あとはエンジンが力をこめてこの雪道を乗り越えるだけだ、と思ったとたん、スィっと坂を登り切った。

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