« 夕張と東京マラソン | トップページ | M乃前半戦終了 »

2007年2月18日 (日)

暖冬の雪と鹿の残した物

Akenoyuki この前の3連休は仕事で行けず、2週間振りの山。土日と天気が崩れるという予報だったが金曜から土曜へと日付が移り変わるころ、信頼の薄くなった車を駆って山へ向かう。前回満月で蒼白く光っていた山並みは全く見えない新月の夜。想像していたほど寒くなく、車の外気温計は−4℃。林道に入るまでの道に残雪は残っていないが、林道に入ったとたん凍結した氷と薄くはりついた氷雪が路面が車のライトでテラテラと光る。アスファルトの林道は雪も氷も消えない。確かに冬以外の季節はよいのだが冬には弱い道で、これも人間が自然に逆らって作りだした便利なようでどうにも扱いきれない《反自然》に対する仕返し。あと数十メートルで本当のダートに入るというところで車は動けなくなった。タイヤが氷の上を空しく空転する悲鳴が響く。アクセルから足を離すとそのままずるずると急な坂を滑り落ちていく。右側は深い谷。深夜の山道でまた恐怖体験をする。ふらふらと蛇行して滑り落ちる車を、ハンドルを左右に当てながらフットブレーキを強く踏んで、さらにサイドブレーキを引く。ようやく車が止まる。見ると道の両脇に白い残雪が凍った状態で残っている。何度かタイヤを空回りさせながら、凍った雪の上に乗り、ハンドルを立て直して急坂に再度挑戦する。あまり強く駆動力を掛けすぎて雪を書き散らせば下に凍った路面が出てくることはわかっているから、シフトをウィンターモードにして、セカンド発進する。グリップを得た感触がアクセルに感じられるとあとはざくざくと音をたてて道の左隅を木の枝をこするように上っていく。15分くらい格闘してようやく土に上にでた。凸凹の土の林道には雪は残っておらず、ときおり深くえぐられた溝にたまった水が凍っているのが見える。それよりも、週の半ばに吹いた春一番の残骸か、林道は細い倒木にさえぎられているが、ここまで来るともう車にキズがつくとか何だとか考えている余裕はなく、バリバリと踏みつけてもう一度きつい坂を上りきった。しかし、この夜の走行はあながち車の低性能のせいではなく、無茶だったと翌日点検に回ってきた管理会社の人の話で了解する。その人は私たちが上っていった日の夕方下りで制動を失い、動けなくなり、自分の会社のジープでの応援を要請したと言っていた。

 いずれにしても山に無事着いた。車から降りると、空は真っ暗で星だらけだった。

 土曜日は疲れて昼過ぎまで寝ていた。曇り空が重く、頭も重かった。午後からちらつきだした小雪は少しずつ枯れた冬の山を見栄えよく白くしていく。雪化粧とはよく言ったもので、アカ松以外落葉樹林ばかりの森は本当に冬の間は寂しくみるべきものもない。だから、またまた同じような写真を載せているが、つまりは冬の山は厳しいだけでとりたてて楽しいことはあまりない。写真は今朝(日曜)、日の出の時間を少し過ぎたころ。

 夜間、ちらちらと少しずつ降り続いた雪は音もなく、静寂そのものだった。ところが明け方、隣で寝ているFERMATAが「なんか家を叩いている音がする」と私をゆりおこした。確かにごとっ、ごとっと音がする。家の中は36時間焚いているストーブで暖かく、家の温度が屋根の雪を溶かし、屋根に乗って凍っていた木の枝や松ぼっくりを地面に落としている音。もう一つは梢の上から一晩降り続いた雪が木の枝や松ぼっくりを落とし屋根に当たっている音。そうに違いないと思ったが、一応明るみだした家の外へ出て点検をした。当然誰もいないし、動物の姿もなかった。

Sikanohun 起きてコーヒーを飲み、東京の娘たちが起き出したころ家に電話を入れると、東京はひどい雨らしい。山も雪からみぞれに変わっている。そのみぞれも昼過ぎにはやみ、薄日が差し始めた。さすがに春間近の雪は溶けるのが早く、庭先の雪もどんどん消えていった。水分も分厚い腐葉土が吸い込んで、湿気はきれいになくなっている。荷物を車に積み込んで、庭の奥に眠っているパウにあいさつをして帰ろうとすると、黒く光る艶やかな親指大の鹿の糞が庭の真ん中にたまっていた。この土地を初めて見に来た2001年の冬、雪の中に鹿の足跡と糞があった。それがこの土地に決めたきっかけだった。その後家のすぐそばを鹿の親子が通るのを見たことはあったが庭に糞を見つけたのは初めてだった。私が家を建てたために鹿の通り道の一つを奪ってしまったとしばらくは気が重かったが、こうしてまだ新しい糞を見ると彼らは再び家の庭を横切ってくれるようになったとうれしかった。今朝方FERMATAが聞いた物音は彼らの散歩の音だったのかもしれない。

|

« 夕張と東京マラソン | トップページ | M乃前半戦終了 »

森の生活」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 夕張と東京マラソン | トップページ | M乃前半戦終了 »