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2006年12月17日 (日)

冬の時代

Xmas06 クリスマスを控えて、浮かれはじめている人もいるだろうし、年の瀬をどう食いつなぐか思案に暮れている人もいるはず。さまざまな人々がこの世にはおり、さまざまな冬を迎えている。生きることは浮かれている人にとっても荒みきった心にうちひしがれる人にとっても厳しいことだ。受験を前に焦っているくせに笑ってみせる娘、吐き気と下痢のウィルスに冒されたのかもしれず家族、とくに妹を気遣って部屋から出てこない娘、仕事で毎日帰宅が遅いのに休みは彼氏と遊びに元気に出かける娘。みんな自分の生を生きるしかない。学期末の仕事に追われて山にまで仕事を持ち込んでがんばる妻。やることは職場でとっとと片づけて休みのことばかり考え、音楽を聴いたり、ギターを弾いたり、ばかりしている夫。そういう家族がてんでばらばらに生きているように見えてどこかでつながっている。

 冬の森で今年初めての雪虫を見た。風が強く雲の流れが早く、急に曇ったかと思うと急に日がさしはじめる。その繰り返しの中で冬の日に照らされた白い雪の粉が南八ヶ岳の高嶺から舞い降りてくる。第九の第三楽章がフルトヴェングラーの棒でゆっくりと奏でられている最中のことだった。馬鹿げているくらい絵になるシチュエーションだ。夕べ飾ったクリスマスツリーの電力の消費量が少ない小さな明かりが様々に色を変えながら点滅している。

 国は教育基本法を変え、防衛庁を変える。恐れていた事態がむっくりと起動しはじめた。一番危惧していた男が政治を動かしだしたから。100年前のこの国の動きを繰り返しだした。こうなることは先刻承知していた。今後の動きもおおかた見えている。冬の時代はここにもちゃんとやってきた。私たちの冬はいつか春の訪れとともに循環していく。しかし私たちはもうこの国の次の春を待つことはできずに消え去るだろう。もしかしたらあり得ない「美しい国」の亡霊だけが廃墟の中を浮遊している時代がまもなくくるかもしれない。メンツで国の行く末を決めようとした過去を反省しない人々を選び出すこの国の愚民たちが望んでいるのならそれも仕方がない。「今年の人」は「You!」だから。

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コメント

はじめまして。
「政治を動かしだした」のは、100年前同様、実質的には財閥と官僚のような気がします。当時と違い軍部は抜けてますけど。あと、旗振り役が極めて内弁慶というのも違う点ではないかと思います。

子供の頃は、「軍国主義にもしなったら、政府の悪い奴らをやっつけりゃいーじゃん」、と単純に考えていましたが、国民の多数がそういう「うねり」に自ら乗っかってやって来るものだとは、ついぞ思いませんでした。独りで出来ることなど、大河に一本杭を立てるが如し、という心境です。
選挙民の多数が賢明でなければならないということが、民主主義の最も基本的な前提条件だということを、そしてそれは幻想だと、非常に遅まきながら気づきました。
実際は、戦争に関しては、そこまで危機感・切迫感は、まだ無いですけれど、人権や日常生活面では、かなりの無茶をやられそうな実感は持っています。

・・・突然青臭い話を始めてしまい失礼しました。
実は、こちらを存じ上げたのは、ミミズで生ゴミを処理すべくネットで調べていた所、「The Worm Cafe」に辿り着いたという次第でして、このコメントにリンクしています私のブログ「ミミ太郎研究所」は、ミミコン初心者のバカ話日誌です。まだ始めて半月ですし、ご覧になるメリットは皆無かと思います。・・・それでは余りに情けないので、「今のところは」ということにしておきます。お邪魔しました。

投稿: mimi-taro | 2006年12月18日 (月) 16:57

mimi-taro さん

ようこそお越しくださいました!

ここはもうほとんど知らない方は見に来ないような、知っている人も最近あまり近寄らないようなサイトです。ときどきわけのわからないトラックバックがつけられて消すのがめんどくさいのでやめちゃおうかとも思っているほど廃墟化したところです。

それもこれも私がみんなの反発を買うようなことを平気で書いたり、えらく偏った趣味に走り続けているからだと思いますが、もしかしたら私という存在に嫌気がさしている人が多いのじゃないかと老人性の被害妄想に陥ったりもしています。

まあ、どうだっていいとは思っています。偏屈は昔からですが歳を経るごとにひどくなっています。そんなところへ来られたmimi-taroさんに感謝しつつ、ミミズコンポストに燃えている今のmimi-taroさんを拝見していて、すぐにも私を追い越して行かれるだろうと感じています。家の The Worm Cafe は蟻とカマドウマの巣と化してしまい、あれる一方です。だからといってそれらを駆除してミミズたちを守っても自然に逆らうことになるので困っています。いいお知恵を貸してください。お願いします。

投稿: EUGENE | 2006年12月18日 (月) 21:19

返信ありがとうございます。
私のブログ場合、バカ話が過ぎて下劣化・幼稚化の一途をたどっていますので、親類・知人に私のブログの存在を教えるのがどうも非常に億劫になってしまいました。
自然といえども、カマドウマは厳しいですね。大昔、東京の友人に「それは便所コオロギって言うんだよ」と教えられて以来、ゴキブリ、フナムシに次いで戦慄を覚える生き物です。
駆け出しが言うのもおこがましいのですが、セオリー通り、切らないそのままの夕刊ぐらいの分量の濡れ新聞を掛け布団にしてあげたら、カマドウマ君も居心地が悪くなって転居してくれるのでは、と思いました。

投稿: mimi-taro | 2006年12月19日 (火) 07:51

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