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2006年11月 5日 (日)

晩秋の森

Karamatu06 傘をさして歩きたくなるくらいに落ち葉が舞っている。唐松の針葉は黄色く色づき、さらさらと音をたてて降ってくる。私の家の庭には真っ赤に紅葉する木が少なくて、あっても紅葉などは日当たりが悪く、真っ赤になる前に枯れていってしまう。100mも下に下がるとむしろ紅葉は鮮やかで、ペンションなど手入れも行き届いているから赤や黄色やきれいに配色されている。

 木々に限らず、人生のあらゆる場面で心当たることだが、外から見たときに見えるものが内側に入ってしまうと見えなくなる。逆もしかり。きれいなタペストリーをほどいて一本一本の糸を見ても面白くないのと同じことなのだ。それでも秋の深まりは森の家を包み込んでいて、そのただ中で降りしきる落ち葉を見ているとそれが自分の人生に重なり合ってくる。たぶん人の目から見ればそれなりにいろいろあって楽しい人生だったのだろうと思われるのだろうが、内側から自分を見つめると寂寞の思いしか浮かんでこない。

Sirakaba06 遊びに来ると言っていた友人が来れなくなったと携帯電話のメールを寄越す。人気のない家の中でぼんやりとしていると我が家の目の前に車が止まり、季節外れの麦わら帽子をかぶった歳は30前くらいの男性が椅子とキャンバスを手に下りてきた。私がいつも車で上ってくる森の中の坂道の頂上に道具をしつらえると絵を描き始めた。一本道が急激に下っていく景色を描いている様子。書き物をしたり、楽譜を読んだりしていても気になり出すと気になってしかたがない。けれど悪い人じゃなさそうだし(秋ぐちから先々週くらいまでは腰に袋を下げたキノコ取りが数人早朝から人の森に入り込んでキノコを探していた。たぶん山を下りたあたりに出店を出して「山菜キノコ」の看板の下で売っている連中だったのだろうと思うがそういう連中は追い返したくなる)、気にしないようにしながら気にしていた。日が落ち始める少し前に、色づいた森の中と同じ色に描かれたキャンバスを手に車に乗って帰っていった。暖かいコーヒーの一杯もごちそうしてあげればよかったと後で思った。

 素通しガラスのトイレに座って森の中を見ていると、木に赤いリボンが巻かれている。そういえば、家の敷地の境界を示す石標のまわりの地面に青いスプレーで○が記されている。山道にも青い矢印が吹き付けられていた。これからなのか、もう終わったのかこのあたりの森がオリエンテーリングのコースになっているようで、家を建てて間もないころレース中の選手たちを見たことがある。そういう季節もまもなく終わり冬に入る。来週は後輩の結婚式で山はお休み。再来週には木はほとんどが丸裸になっており、家の水抜きも管理会社が済ませてくれているはず。夫婦二人の静かな三連休だった。


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