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2006年6月 6日 (火)

花盗人

Rengetutuji062 働き詰めだった日々をようやく終えて2週間ぶりに山へ帰る。車のライトが照らし出すはずの家が見えない。家ごと盗まれたか、と思うと深い緑の中に小さな私の隠れ家が見えた。2週間の間に林は森になっていた。

 月曜日まで休みをとったので3泊3日、天候はレースのカーテン越しのような日差しがデッキを照らす穏やかな日々。庭は草ぼうぼうで、最後まで葉をつけなかった栗の木も黄緑の葉に覆われている。相変わらず郭公とキジとウグイスが他の野鳥の声を制圧するように鳴き続けた。キジはケーン、ケーンと鳴くと言われるが、クェー、クェーと鳴く。それも2回ずつ鳴いては休む。かなり大きな声なのでよほど大きなキジがいるのかと暗い家の中から外を眺めていると、鶏程度の、派手な衣装を身につけた雄のキジが不格好な走り方で山の中を走り抜けていった。まだ子供なのかもしれない。当然、カメラを持って追いかけたがシャッターチャンスはなかった。

 この家の建築中のGWに盛りだったレンゲツツジが今年は今週が見頃であちこちに淡い朱色の花をつけている。なのに家の中から見渡すあたりは野いちごの白い花がいっぱいで朱色は見えない。そこで、スコップを片手に林の中へ入り、群生するレンゲツツジを目立たぬように数株盗んできて、庭に移植した。うちの庭にもたくさん根を広げて、同じような色の小さな花を咲かせるボケと同じで、地上に出ている株はいくつにも分かれているのに根はつながっており、掘り返すのが骨だった。こうして誰かの所有権がある土地に根を下ろした草木をかっぱらうのは犯罪だと、不思議な快感を覚えながらささやかな窃盗をして、うちの庭に植えた。

 ミミズのうんちを底に敷き、水もたっぷりやったけれど、もともと大きな根から株分かれして生えている木が小さな根に分けられて根づくかどうかはわからない。根づけば雑草の生い茂るだけの庭を毎年この時期控えめな彩りで飾ってくれるはずなのだが… 植えた直後には葉も花もぐったりとうつむいていた。
Rengetutuji061

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