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2006年5月28日 (日)

体力の限界

 かつて仕事を終えてから夜、FERMATAとジョギングし、週末は週末でどこかの大会に出たり、走り仲間と長時間ジョギングして、夜お酒を飲んだ。今はぐったりして仕事から帰ると大してお酒も飲めなくなり、そそくさと夕食を済ませ、バタッと寝てしまう。毎日同じことの繰り返しで、憔悴しきったころようやく週末を迎える。金曜日は仕事が遅いことが多く、それでも帰宅後すぐに用意してあった荷物を車に放り込み、PAUを乗せてFERMATAと深夜の山へ向かう。
 同じように一週間学校と看病のための病院通いで疲れ切っているFERMATAは隣の席で寝ている。私は鬱積した怒りとか不満が仕事にあると、FERMATAが聞いていないことを知りつつ、ハンドルを握りながらしゃべり続ける。何もしゃべらないときは疲れすぎているときだけかもしれない。ETCの深夜割引があるせいか、真夜中だというのに長距離トラック以外の自家用車も多くなった。緊張してハンドルを握ってはいるが、もう数百回往復している同じ高速道路だから、カーブや上り下りは熟知していて無意識のうちに笹子トンネルを越える。明るいときなら真正面に南アルプスが広がるんだな、とか、ここらあたりから八ヶ岳連峰の南麓がきれいなんだが、などと毎回のように思いながら長い坂を上り続け、ようやくいつものインターチェンジを下りる。ETCゲートも今では普通のスピードで通り抜ける。
 
 甲府付近で高くなった車外温度が急激に下がっている。山荘まであと10分、何度気温が下がるだろう、と時折メーターパネルの中の温度計を見る。毎回のように工事中の道ができていたり、新しく建築中の大きな山荘があったりする。初めてこの道を上っていった15年以上前とこの辺もずいぶん変わったなと思っている間に清里方面に向かう車道から脇道へそれる。ライトをビームにする。ときおり駆け抜けるイタチだかテンだかタヌキだかわからないけれどそういう小動物が見たくて。明かりのついている山荘が半分、誰もきていなさそうな山荘が半分。そういう区画を越えると道はずっと細くなり、カーブも増える。冬場は凍って四駆でも辛いアスファルトの山道。来る人はたいてい曲がり損ねる、林道の入り口をいつものことだから難なく曲がって、大きな凸凹が続く急な坂を下り、そして上る。頭の中には国土地理院の二万分の一の地図の等高線が浮かんでいる。凸凹で車高の高い私の車でも腹をこするから足下に気をつけ、加えて林の中から倒れた木の先が道をふさぐように飛び出していることも多いので頭上も気をつける。でも斜辺100m弱の三角形を逆さにしたようなダウン、アップを乗り越え、天を差していたライトが平面を照らしだすと我が山荘が目に入る。
 
 天気は甲府韮崎あたりの明かりが木々の間から見えているとまずまず。車外温度計を見るとインターチェンジのあたりより確実に5℃以上下がっている。日記帳にあらかじめついている月齢を思い出し、月夜でないと期待する。車を止めてライトを消して、あたりが真っ暗になった庭先に下りるとすぐに空を見上げる。昨日が新月だったから今度山へ行く夜は半月に近いはず。時間によっては星が見れるかもしれない。それが楽しみで今週は金曜日までまた働くのだ。山に行けない土日、それも仕事で行けない週は本当に体も心もくたくたになっている。

 懐中電灯を照らしながら家の周辺を一周してガスや水道の栓をあけ終えると玄関からそのまま冷蔵庫に向かい冷えたビールを取り出す。深夜の1時ころ。FERMATAが簡単なつまみを作っている間に、私は風呂場の窓を開け放ち、50℃近い熱い湯を張る。冷え切ったバスタブに湯がたまるころちょうどよくなるのだ。毎回、本当に、馬鹿の一つ覚えのように同じパターンの生活を山で送っている。それは条件反射的に中央道を走っていくの同じ。

 次の週末は土日に加えて月曜も休みを取ったのでいつもより1日のんびりできる。それでも、特別なことは何もしないだろう。

 

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